シリコンバレー銀行破綻でむしろ米景気良化インフレ加速、リセッションも今年はない!?

コラム,経済・景気・株価

専門家のほぼ100%が今年の米国のリセッション(景気後退)入りを予想していると思いますが、あまのじゃくの筆者としてはこれにも反対の予想をしたいと思います(笑)

まず、リセッションといってもその定義や判定方法がわからない人も多いと思います。
よく言われるのが、「実質GDP成長率が2期連続マイナスなら景気後退(テクニカルリセッション)」というものです。
コロナ禍では、昨年2022年Q1(第1四半期)とQ2(第2四半期)で既に起きています。

ただ、テクニカルリセッションでは実体経済との温度差があり、米国に於いては民間の非営利機関である全米経済研究所(NBER)が「明確に景気は減速している」と判断した場合をリセッションと判定しています。
日本の梅雨明け宣言みたいなもんです(笑)

NBERは、リセッションの定義・条件を
①経済活動全般にわたって、相当な下降局面にあること。
②数カ月以上の持続的なものであること。
③実質GDP、鉱工業生産、雇用、実質個人所得、製造業・卸売・小売の実質販売高等で明示的な下降を見せていること。
としています。

さて、前置きが長くなりましたが、ここで上記③の判定基準にも示されている米国の実質GDP(前期比年率換算)と雇用(失業率)のグラフを見てみます。
グラフ上の背景がグレーとなっている部分がリセッション期間ですが、1990年以降4回訪れているのわかります。

見た感じ、コロナ禍のリセッションはちょっと例外的ですが、だいたい失業率が底打ちしてから半年後くらいに0.5ポイントほど悪化し、そこがリセッションの入口という感じがします。
そしてその後にGDPがマイナスに転じ、GDPが底打ちした前後数か月がリセッション期間という感じがします。

【米国の実質GDPと失業率】
米国の実質GDPと失業率

 

では、現在の米国の実質GDPと失業率がどうなっているか見ていきます。
2022年Q4の実質GDP確定値が今夜発表されましたが、改定値から下方修正されて2.6%となっています。
そして、GDPNowの予測値を見ると、2023年Q1は3.2%となっています。
つまり、2023年Q1の実質GDPが、もしこの予測値通りだとすると上記のグラフは少し上昇することになります。

一方、米国の失業率に関しては、今年2023年1月に3.4%と底打ちし、来週4月7日(金)に3月分の失業率が発表されますが、市場予想は2月と変わらず横ばいの3.6%となっています。

上記で述べたように、このまま失業率が底打ちし0.5ポイントほど上昇すれば、そこがリセッションの入口となり、その数か月後には実質GDPがマイナスへ転落し、底打ちした前後数か月がリセッション期間と判定されることになりそうです。
まあ、ほぼ100%の専門家が予想しているシナリオだと思います。

では、あまのじゃくの筆者が予想しているメインシナリオは何かというと、GDPも雇用もどちらも好調さが続き、景気も悪化せずインフレ率も再び上昇していくというシナリオです。
根拠としては2つ。

まず1つ目は、米国可処分所得の急上昇。
可処分所得とは、収入のうち税金や社会保険料などを除いた所得のことで自分で自由に使える手取り収入のことをいいます。
今年1月の可処分所得は前年同月比で8.3%も急上昇しています。
インフレ率は現在6%あたりですので、インフレ率を差し引いた実質の可処分所得もプラスへと転じています。

理由としては前年のインフレ率から算出した物価スライドの調整率が大幅に引き上げられたことで、今年1月から年金などの社会保障支給額が急増したことが挙げられます。
そしてこれは景気の動向に左右されることなく1年間続くことになります。
1月の個人消費が好調だったのは暖冬の影響との記事をたくさん見かけましたが、懐も暖かかったようです(笑)

 

【米国可処分所得(前年同月比)】
米国可処分所得(前年同月比)

【実質米国可処分所得(前年同月比)】
実質米国可処分所得(前年同月比)

 

米国平均時給も前年同月比で4~5%で底堅く推移し、来週4月7日(金)発表予定の3月分雇用統計では4.7%への上昇予想となっており、インフレ率の低下とともにその差がなくなりつつあります。

【米国平均時給(前年同月比)】
米国平均時給(前年同月比)

 

よって、社会保障の恩恵を受けられる人は限られますが、全体として米国の個人消費は当面好調と考えられ、GDPも底堅く推移すると予想します。

 

そして2つ目は、金融不安により緩和的になってしまったこと。
FRBは昨年6月よりコツコツとバランスシートの縮小、つまり市場に出回るドル資金を減らしてきたわけですが、今回の金融不安により銀行へ多額の資金を貸し出してしまったため、縮小前の水準にかなり近付いてきました。
これは量的緩和を実施したのと同じような効果となり、市場の金利も下落し質的にも緩和状態となり、景気にもインフレにもプラスに作用することとなります。

一方で、金融不安により信用収縮、つまり貸し渋りや貸し剥がしが生じ、0.5ポイントの利上げと同等の金融引き締め効果があるとの試算もあるようです。
ただ、中小の銀行から流出した預金は大手銀行や証券会社などへ移動しただけで、逆に市場に出回るドル資金は大量に供給されたので、トータル的にはあまり影響はないのかなと思われます。

そして、何よりシリコンバレー銀行破綻後の米国の経済指標も概ね好調で、実体経済への影響は今のところ軽微のようです。

しかしながら、FRBによる銀行への貸し出しは返済期間が最長で3か月と1年の2種類の短期融資制度で行われており、返済時期に於いては逆に金融が引き締まる効果となります。

 

今後の予想としては、FRBは恐らく5月のFOMCでの利上げを最後に6月ではFF金利を据え置き、しばらくの間これを維持すると思います。
そしてインフレ第二波が発生し、その後はパウエルFRB議長の舵取りに委ねられますが、更なる金利上昇圧力に晒されるでしょう。
そうなってくるとやはり景気は悪化していき、今年はリセッションに陥ることはないと予想しますが、来年から再来年にかけては確率は高そうです。

銀行の破綻は政府の介入によって迅速に処理され預金者は保護される可能性が高いですが、投資家は基本的に保護されません。
次の〇〇ショックも、シリコンバレー銀行の破綻等を見てリスクオフに賭けた大手投資ファンドが逆に自分のお尻に火がつくような事態となって、リーマンショックのようなことになるかもしれません。
それが、GPIF(日本政府年金投資ファンド)でないことを祈るばかりです(笑)
そして、予想が外れるようパウエルFRB議長に期待します!

ちなみに、管理人ペッパーは経済金融の専門家でも何でもありません。信じるか信じないかはあなた次第!
ฅ(=^・^=)

リスクオフに賭けた大手投資ファンド

Posted by ペッパー