強かった1月米国雇用統計。PCEの67%を占めるサービス業の人件費から今後のインフレ動向を考察!
2024年1月分の米国雇用統計は非常に強い結果となりました。
市場や専門家の多くは今年3月のFOMC(米連邦公開市場委員会)から政策金利を0.25%利下げし、その後もほぼ毎回の年6~7回という「早期かつ大幅」な利下げを年内に実施すると予想していましたが、この結果を受けて修正を余儀なくされています。
今後米国のインフレは減速していくのか?ここ2年間の雇用者数と平均時給の推移から考察していきたいと思います。
以前コラムで述べたように、米国PCE(個人消費支出)価格指数では、サービス部門が67.0%と多くを占めています(2023年11月時点)。
サービス価格の原資は主に人件費であるため、平均時給の動向がわかればサービス価格の動向も予想できるということで、サービス部門に含まれる各項目の状況を見ていきます。
(住宅は不動産価格、公共料金は資源価格が主な原資ですので省略します)
【 米国PCE価格指数 各項目の構成比(比重)】
*一部項目を省略しています
まずは、財とサービスを含めた全体の雇用状況を確認しておきます。
1月の「非農業部門雇用者数」の前年同月比は+1.89%となっています。
絶対数では+35.3万人と大幅に増加しましたが、前年同月比で見ますと下降トレンドとなっています。
同月の「平均時給」の前年同月比は+4.48%となっています。
こちらは下降トレンドながら、昨年2023年11月の+4.26%を底に反発局面となっています。
【非農業部門雇用者数と民間企業平均時給)[前年同月比]】
全体像を確認したところで、次はサービス部門の各項目を見ていきます。
最初は、PCE構成比16.2%の「健康管理」です。
「教育・医療」の雇用状況を見てみます(「教育」はPCEでは「他のサービス」に含まれます)。
1月の雇用者数は前年同月比+4.16%と上昇トレンドとなっていますが1月は下げており、4%前後で頭打ちのようにも見えます。
同月の平均時給は前年同月比+3.68%と下降トレンドながら今月は反発しています。
教育と医療は別々にしてほしい…
【教育・医療(雇用者数と平均時給)[前年同月比]】
2番目は、PCE構成比7.6%の「食事・宿泊施設」と、3.8%の「レクリエーション」です。
「レジャー・ホスピタリティ」の雇用状況を見てみます。
1月の雇用者数は前年同月比+2.93%と下降トレンドとなっています。
同月の平均時給は前年同月比+4.38%と下降トレンドながら今月は反発しています。
【レジャー・ホスピタリティ(雇用者数と平均時給)[前年同月比]】
3番目は、PCE構成比7.0%の「金融・保険」です。
「金融」の雇用状況を見てみます。
1月の雇用者数は前年同月比+1.13%と下降トレンドながら、昨年2023年11月の+1.02%を底に反発局面となっています。
同月の平均時給は前年同月比+5.34%と上昇トレンドとなっています。
全体の+4.48%を大きく上回っており、インフレ率の押し上げに寄与していると思われます。
【金融(雇用者数と平均時給)[前年同月比]】
4番目は、PCE構成比3.3%の「輸送」です。
「運輸・倉庫」の雇用状況を見てみます。
1月の雇用者数は前年同月比-0.81%と下降トレンドかつマイナス圏での推移となっていますが、昨年2023年8月の-1.36%を底にやや反発していますがほぼ横ばいの状態となっています。
同月の平均時給は前年同月比+6.63%と一昨年2022年12月の+3.88%を底に下降トレンドから上昇トレンドへ移っています。
高水準での推移となっており、インフレ率を押し上げていると思われます。
【運輸・倉庫(雇用者数と平均時給)[前年同月比]】
5番目は、PCE構成比8.2%の「他のサービス」に含まれる「情報」です。
「情報」の雇用状況を見てみます。
1月の雇用者数は前年同月比-1.14%と昨年2023年10月の-3.65%を底に下降トレンドから上昇トレンドへ移っています。
同月の平均時給は前年同月比+3.10%と昨年2023年9月の+1.38%を底に反発局面となっていますが、伸び悩んでいる状態となっています。
【情報(雇用者数と平均時給)[前年同月比]】
6番目も、PCE構成比8.2%の「他のサービス」に含まれる「プロフェッショナル・ビジネス」です。
「プロフェッショナル・ビジネス」の雇用状況を見てみます。
1月の雇用者数は前年同月比+0.91%と昨年2023年10月の+0.59%を底に下降トレンドから上昇トレンドへ移っています。
同月の平均時給は前年同月比+4.63%と昨年2023年11月の+4.23%を底に下降トレンドから上昇トレンドへ移っています。
【プロフェッショナル・ビジネス(雇用者数と平均時給)[前年同月比]】
以上、6項目の雇用者数と平均時給を見てきましたが、全体の非農業部門雇用者数が下降トレンドの中、サービス業に於いてはここ数か月、反発してきているようにも見えます。
平均時給に於いてはさらにその傾向が強いように感じます。
やはり、就業者と完全失業者を合計した労働力人口の絶対数が昨年2023年11月に天井を付け、ここ2か月は減少傾向となる中、労働参加率も上がってこないため、人材の供給が減り続けており、人件費の高騰を招いていると考えられます。
よって、需要がそれ以上に落ち込まない限り雇用環境の逼迫化は改善されず、サービス業のインフレは当面収まらないのではないかと予想されます。
ちなみに、管理人ペッパーは経済・金融の専門家でもなんでもありません。
信じるか信じないかはあなた次第!
ฅ(=^・^=)
【労働力人口】
【労働参加率】