膨大な円キャリートレードの巻き戻しが始まるか!?
今週のドル円相場は、日本の衆議院選挙通過に伴い、高市トレードによる円売りの巻き戻しや米国小売売上高の悪化、米国雇用統計への警戒感などから週明け月曜の高値157.73円から本日の安値152.78円までちょうど5円の急落となっています。
また、中国当局が国内金融機関に対し、米国債の保有を抑制するよう指示したとも報じられており、米国からの資金流出が懸念されるところです。
というわけで、今日は円キャリートレードについて記事を書いてみようと思います。
円キャリートレードとは、「低金利の日本円を借り入れて投資資金を調達し、米ドルなどの高金利通貨に換えて運用する投資手法」のことです。
円キャリートレード「狭義の推計」
ここでは、国際決済銀行(BIS)が発表した円キャリートレードの規模に関する「狭義の推計」を基に考察していきたいと思います。
「狭義の推計」とは、外貨準備などの公的資金を除外し、日本国外の銀行や企業が日本の銀行から借りている円資金のうち、純粋に裁定取引(金利差狙い)として利用される短期資金の金額を指します。
これはいわば、いつでも逃げることができる資金で、ヘッジファンドなどが投機目的で利用する円キャリートレードの実態を最も反映しやすい指標の一つです。
他方で「広義の推計」では、FXや先物などのデリバティブ取引や企業の資金調達を含めた広範な円資金の活用規模とされ、その正確な推計は極めて困難であり、「狭義の推計」の数倍あると言われています。
円建て対外借入の長期推移
2000年代初頭から現在までの円建て対外借入残高(狭義の推計)の長期推移を見てみます。
2000年代初頭(ITバブル崩壊後): 約 1,200 億ドル
ゼロ金利政策の導入により、最初の円キャリー・ブームが到来。
2007年(サブプライム前ピーク): 約 2,500 億ドル
当時の歴史的ピーク。世界的な好景気で円が「調達通貨」として定着。
2009年〜2011年(リーマン後):約 1,000 億ドル
危機による円急騰で、キャリー勢が壊滅的打撃。
2013年〜2019年(アベノミクス):約 1,500〜2,000 億ドル
異次元緩和による円安・低金利で、再び緩やかに増加。
2021年(パンデミック後):約 2,150 億ドル
世界的なインフレと主要国の利上げにより、金利差が拡大。
2024年6月末(直近ピーク):約 2,610 億ドル
記録的な日米金利差により、2007年を上回る。
2025年9月末(最新) 約 2,410 億ドル
日銀利上げ(0.75%)を受け、構造的な縮小が開始。
この推移を見てみますと、円建て対外借入は世界的な金融緩和によるバブルの発生とともに急増し、経済危機によるバブルの崩壊によって巻き戻されるという非常にダイナミックな歴史を繰り返しているのがわかります。
ただ、残高がゼロになるということはなく、過去の例から見ても1,000億ドル程度は常に需要があると思われます。
【 ドル円(月足)】

あとがき
ということで、円建て対外借入残高の推移を見てみましたが、現在もまだ2,000億ドル以上の高水準な残高が残っていそうな感じがします。
仮に2,000億ドルから1,000億ドルまで巻き戻されるとなると、短期間で約15兆円分の円が買われることになり、為替介入では1兆円で1円ほどの値動きが見られますので、約15円分ドル円は下落することになります。
これはあくまで「狭義の推計」による実需の潜在的な円高要因で、「広義の推計」も含めますと、更なる下落の推進力となるでしょう。
リスクオフの円高はなくなったなんて暴論を吐く専門家もいますが、それは日本で借りた円資金を返さないと同義語ですので、全くのナンセンスです。
本格的なリスクオフとなれば、この潜在的な円買い需要が顔を出しますので、そろそろ警戒しておく必要があるかもしれませんね。
ちなみに、管理人ペッパーは経済・金融の専門家でもなんでもありません。
信じるか信じないかはあなた次第!
ฅ(=^・^=)