米国経済のソフトランディングを織り込んだ市場や専門家に対し、むしろ景気後退確率は上昇したと思う根拠
4日(金)に9月分の米国雇用統計の発表があり、結果は市場予想を大きく上振れ、米株や米国債利回り、そしてドル円も大きく上昇する流れとなりました。
そう、雇用統計の結果を受けて、市場や専門家は米国の景気後退(リセッション)の確率を下げ、逆に景気減速程度で済むソフトランディングの確率を大幅に引き上げたのです。
しかしながら、ここで血が騒ぐのがあまのじゃくの筆者であります。(笑)
むしろ景気後退の確率を引き上げ、その根拠をこれから述べていきたいと思います。
根拠1.金融市場は9月分の米国雇用統計を過大評価している!
9月分の米国雇用統計に於いて、主な雇用指標のヘッドラインだけを見ますと、如何にも米国の雇用は強そうという感じがしますが、実体はそこまで強くないのでは?という疑問が湧きましたので中身をもう少し詳しく見ていきたいと思います。
まず1つ目は先行投資による雇用増と考えられる点。
例えば、建設業では8月に求人数・雇用者数ともに大きく増加しており、9月の雇用者数は+25千人とやや鈍化しましたが、4月の-5千人から増加傾向となっています。
9月といえば、FOMC(米連邦公開市場委員会)で0.5%ptの利下げが行われた月です。
やはり住宅関連企業などは金利低下による需要増を見込んで先行投資に動いたのでは?と推測できます。
【建設業の求人数(指数)と雇用者数(前月からの増減数)】
2つ目は、仕事を掛け持ちしている労働者が増加している点。
コロナ禍以降仕事を掛け持ちしている労働者は急増しており、コロナ禍前の水準も超え、データが取れる期間での最高値も更新しました。
今回9月分のデータでは、前月から+12.1万人増加し865.9万人となっています。
コロナ禍以降の労働時間が減少傾向となっており、平均時給は上昇しても給与総額の伸びは鈍化傾向となっているため、家計の苦しい家庭が増えてきているのはないでしょうかね。
また、非農業部門雇用者数のデータは事業所調査によるものなので、仕事の掛け持ちをしている労働者がいると重複して計上してしまう可能性があります。
今年8月に非農業部門雇用者数の年次改定があり、3月までの1年間で-81.8万人下方修正されたことは記憶に新しいところだと思いますが、今回の9月分を含め4月以降も相当数下方修正されるのではないかと推測できます。
【米国掛け持ち労働者数】
これらの理由から金融市場は雇用の実態よりも過大に評価をしている可能性があり、金利水準も適正水準より高くなっていると考えられ、その分景気を抑制的にしていると思われます。
根拠2.米国債利回りは再び景気抑制レベルまで上昇!
まずは昨年末から今年の春までの米国債利回りとFRBがインフレ率2%目標の対象としているコアPCEデフレーターの値動きを簡単におさらいしておきます。
昨年の後半つまり今から約1年前ですが、米国債の利回りが急騰したため米国経済は抑制的となり、コアPCEデフレーターは10月、11月と前月比で大きく低下することとなりました。
これを受けてパウエルFRB議長が利下げを示唆したため、今度は一転して利回りは急落し、コアPCEデフレーターは12月、1月と急上昇することとなりました。
この年末年始のラリーでの10年物米国債の利回りは、5.02%(10月23日) → 3.78%(12月27日) → 4.74%(4月25日)と推移しました。
そして現在のラリーは、4.74%(4月25日) → 3.60%(9月17日) → 4.13%(10月10日)とレンジをやや下げて推移しています。
これは景気減速により以前ほど利回りが上昇しなくても景気を抑制することができ、逆に以前よりも利回りが低下しないと景気を浮揚させることができなくなってきていると言うことができると思います。
10年物米国債の利回りチャートにトレンドラインを引いてみますと、今回のラリーは概ね4.4~4.5%辺りが上限と思われ、これに近付くほど景気を抑制していくことになります。
実際、昨日発表されたMBA住宅ローン購入指数では前回まで6週連続増加していましたが今回僅かながら前週を下回り、本日発表の新規失業保険申請件数もやや多めに増加していました。
やはり上述の通り、金融市場は米国の雇用の実態を過大評価してしまって、金利水準を再び景気抑制レベルまで押し上げていると思われます。
筆者が以前から言ってる「上げたら下がる、下げたら上がる相場」となって、もう間もなく米国経済、米国債利回り、ドル円は下りのターンへと入っていくのではないでしょうかね。
【ドル円、10年物米国債利回り、コアPCE前月比】
上記の根拠などにより、あまのじゃくの筆者は米国の景気後退(リセッション)の確率は上がったと考えます。
あとがき
上でも触れましたが、住宅関連企業などは金利低下による需要増を見込んで先行投資に動いたと思われます。
FRBの利下げによって、住宅ローン金利は5%台へ下がると予想している関係者のコメントも見ました。
しかしながら、この見通しは脆くも崩れ去っており、先行投資した分は近い将来余剰の人員や在庫になることは必至です。
この先、失業者の増加、商品価格の下落などが起きるのではないでしょうかね。
一方で、労働力人口の伸びが鈍化している点も気になるところです。
求人の減少により雇用環境の逼迫感は薄らいできましたが、人口動態の問題や早期退職の増加に加え、憶測ですが移民の流入が減少しているのではないかと思われます。
移民に寛容な民主党バイデン政権でしたが大統領選を控え、物価高と並んで有権者の関心が高い移民問題に対処するため、6月より不法移民の入国規制を行い、更に今月厳格化してきました。
再び労働力不足が人件費を上昇させてしまう恐れもありそうです。
来月には大統領選もあり不透明感が漂っていますので、あまり決め打ちはせず、リスク管理を優先させるのが得策かなという気がしますね。
ちなみに、管理人ペッパーは経済・金融の専門家でもなんでもありません。
信じるか信じないかはあなた次第!
ฅ(=^・^=)