急増した雇用者数、家計調査では急減していた!(5月米国雇用統計結果詳細)
7日(金)に5月分の米国雇用統計の発表がありました。
結果は、非農業部門雇用者数が+27.2万人(市場予想+18.2万人)、失業率が4.0%(市場予想3.9%)、平均時給前月比が+0.4%(市場予想+0.3%)、前年同月比が+4.1%(市場予想+3.9%)と、失業率は悪化したものの、非農業部門雇用者数と平均時給が市場予想を大きく上振れたため、ドル円は発表直後に大きく上昇しました。
それではその雇用統計の中身をもう少し詳しく見ていきたいと思います。
労働年齢人口
まずは、15歳以上の「労働年齢人口」です。
2024年5月分のグラフのデータが更新されていませんが、268,066千人(4月)→ 268,248千人(5月)へと、182千人の増加となっており、1月に大きく減少した後は上昇トレンドとなっています。
【米国労働年齢人口】
労働力人口
次は、15歳以上のうち就業者と完全失業者を合わせた「労働力人口」です。
167,982千人(4月)→ 167,732千人(5月)へと、250千人の減少となっています。
【米国労働力人口】
労働参加率
3番目は、上記「労働力人口」の割合である「労働参加率」です。
経済指標の発表時は小数第一位までしか公表されませんので、小数第二位まで計算して求めてみます。
62.66%(4月)→ 62.53%(5月)へと、0.13ポイントの減少となっており、昨年付けた62.8%を天井に頭打ちとなっています。
求人の減少、しかもパートタイムばかりとなると、労働参加率は上がってこないのかもしれませんね。
【米国労働参加率】
非農業部門雇用者数
4番目は、「非農業部門雇用者数」です。
+165千人(4月)→ +272千人(5月)へと、107千人の大幅な増加となっています。
景気に左右されず高齢化社会のため「医療と社会援助」部門では安定的に雇用者は増加しており、5月も+83.5千人と雇用増に大きく貢献しています。
「レジャー・ホスピタリティ」部門も+42千人と回復し、変動のの大きい「プロフェッショナル・ビジネスサービス」と「政府」もそれぞれ+33千人、+43千人と5月は大きなプラスとなっています。
前月が悪かったのでその反動増の面もありそうですね。
ただ家計調査の雇用者数は、-408千人と急減しており、昨年11月を天井に減少傾向となっています。
フルタイムの雇用者数が、133,839千人(4月)→ 133,264千人(5月)へと、575千人の減少となっており、大幅な雇用減に寄与しています。
こちらも昨年の6月に134,787千人の天井を付けた後、減少傾向となっています。
さて、どちらが実体経済を反映しているのか?といった感じですね。
【 米国非農業部門雇用者数(事業所調査)と雇用者数(家計調査)】
【 米国雇用者数(フルタイム)】
【米国非農業部門雇用者数詳細】
失業率
5番目は「失業率」です。
こちらも経済指標の発表時は小数第一位までしか公表されませんので、小数第二位まで計算して求めてみます。
その前に「失業者数」の絶対数を見てみましょう。
6,492千人(4月)→6,649千人(5月)へと、157千人の増加となっており、2022年12月の5,698千人を底に緩やかな上昇トレンドが続いています。
【米国失業者数】
失業率も同様に、3.86%(4月)→3.96%(5月)へと、0.10ポイントの増加となっており、2023年1月の3.4%を底に緩やかな上昇トレンドが続いています。
四捨五入の繰り上げではありますが、とうとう4%台に乗ってきたなという感じですね。
【米国失業率】
平均時給
6番目は「平均時給」です。
前月比が+0.23%(4月)→0.40%(5月)、前年同月比が+3.98%(4月)→4.08%(5月)へと、それぞれ0.17ポイントと0.10ポイント上昇しています。
【 米国平均時給(前月比と前年同月比)】
というわけで、6つの項目を見てみましたが、やはり気になるのが「非農業部門雇用者数」ですね。
このデータは事業所調査なので、事業の開廃業の際の雇用者数データが反映されないため、労働省はその推定値を加減算し暫定的な雇用者数を発表しています。
特に景気が悪化し開業よりも廃業の数が多い場合には、雇用者数の推定値は過大評価される傾向にあるようです。
また、掛け持ちで仕事をしている人を二重計上してしまうデメリットもあります。
他方、家計調査はサンプル数が少なく毎月のブレが大きいのと、自営業者も含まれるという違いがあります。
よって、今回5月分の非農業部門雇用者数も過大評価されている可能性もあり、確報値では下方修正されるのではないかなという気がします。
また、フルタイムでの雇用は減少し、パートタイムが増えるという雇用の質も悪化しているように思われます。
次に気になるのが、「平均時給」です。
労働参加率の減少に伴って労働力人口が減少したため、雇用環境はやや逼迫し、平均時給の上昇につながった感じです。
ただ、求人数は減少傾向となっているため、このまま上昇トレンドに転じることはないのではという気がします。
最後は「失業率」です。
272千人の雇用増加があっても失業率が悪化するので、なかなか厳しい環境にあるのかなという感じです。
失業者の絶対数も緩やかな上昇トレンドとなっているため、今後も上昇傾向が続き4%台で推移するのではないでしょうか。
指標発表後ドル円は大きく上昇しましたが、中身を見るとそれほど強い内容には思えず、先行きもあまり楽観できる状態にはないように思われます。
むしろ、あまのじゃくの筆者には、直近3カ月の失業率の平均値が過去12カ月の失業率の最低値よりも0.5ポイント上昇した場合、景気後退期と判断するサーム・ルールの基準に近付いているように感じられます。
ちなみに、管理人ペッパーは経済・金融の専門家でもなんでもありません。
信じるか信じないかはあなた次第!
ฅ(=^・^=)