リーマンを彷彿させるプライベートクレジット市場、英国住宅ローン会社MFS破綻

コラム,経済・景気・株価

2月23日に英国の住宅ローン会社「MFS(Market Financial Solutions)」が経営破綻しました。
2025年末時点までは健全経営に見えていましたが、「二重担保」や「不正会計処理」によって、実際には深刻な資金不足に陥っていたようです。
まさに現在のプライベートクレジット市場が、いかに透明性を欠いているかということを証明した、あっという間の破綻劇でした。

2025年9月に米国自動車ローン会社のトライカラーと自動車部品メーカーのファースト・ブランズが「架空の売掛金」や「二重担保」の不正により相次いで破綻した際、どこかの偉い人が「ゴキブリを1匹見たら恐らく他にもいる。」と発言してましたが、英国でも見つかった格好です。

 

影響を受けた主な金融機関

今回の英国MFSの破綻により、影響を受けている主な金融機関と投資家が判明しています。

バークレイズ:約6億ポンド
英国の大手銀行。最大の融資提供者の一つ。銀行口座を凍結しMFSの破綻の引き金となった。

アトラス・SP・パートナーズ:約4億ポンド
米国の大手資産運用会社アポロの傘下。シニア(優先)債権者として法的手段による回収を急いでいる。

キャッスルレイク:約4億ポンド
米国の資産運用会社。直接的な無担保リスクはないと主張。

サンタンデール:数億ポンド
スペインの銀行。グローバルな融資枠を提供していた銀行の一つ。

ウェルズ・ファーゴ:数億ポンド
米国の大手銀行。資金供給ラインを担っていたとされる。

ジェフリーズ:約1億ポンド
米国の大手投資銀行。主要な貸し手として特定されている。ファースト・ブランズに続いての焦げ付き。

 

合計20億ポンド規模の融資をしていたことが報告されています。

 

英国MFSの破綻の影響

英国MFSの破綻を受け、米国本土のBDC(資産運用ファンド会社)やプライベートクレジット市場では、信用の連鎖凍結という形で飛び火が始まっています。
リーマンショックの時と同様、一つの不正が市場全体の疑心暗鬼を生んでいます。

1. 銀行による一斉点検

JPモルガンやゴールドマン・サックスなどの米系の大手銀行は、BDCに提供している与信枠の再審査を急いでいます。

担保の再評価MFSで「二重担保」の疑いが出たため、各BDCが担保としているローン資産が本当に実在し、価値があるのかを厳格にチェックし直しています。

融資条件の厳格化
銀行が「リスクが高い」と判断すれば、BDCが解約資金に充てるための借入枠を縮小・停止します。
これが現実になれば、BDCは投資家への払い戻しができなくなります。

 

2. 非上場BDCでの解約制限の連鎖

特に市場価格がつかない非上場BDCにおいて、投資家の不安が募っています。

先回り解約
「MFSのような事態が米国でも起きるのでは?」と恐れた投資家が今のうちに現金化しようと解約を急ぐ動きもあります。

解約停止の発動
解約が殺到し、銀行からの追加借入も難しくなれば、「解約停止」を宣言せざるを得ない銘柄が出る可能性があります。

 

3. 資産評価への不信感

MFSが破綻直前まで「健全」を装っていたことが、米国のBDC業界全体の信頼を揺るがしています。

含み損の炙り出し
これまで独自のモデルで高く評価していたローン資産に対し、監査法人や当局が「もっと厳しく評価しろ」と圧力を強めています。

NAV(純資産価値)の下落
評価を厳しくすれば、帳簿上の資産価値が下がり、それが株価(上場BDCの場合)の暴落や、レバレッジ規制(借金しすぎ)の抵触につながります。

 

あとがき
今回のMFS事件は、「実態のない資産を担保に巨額の融資を受けていた」という点がリーマンショック時のサブプライム問題と酷似しています。
米証券取引委員会(SEC)は、プライベートクレジットの透明性を高めるための緊急開示規則の検討に入ったと報じられていますが、逆に明るみになることで恐ろしい事態になりそうな気もします。
2026年は超低金利時代に発行された膨大な額の債務が満期を迎え、より高い金利での借り換えを余儀なくされる、いわゆる「借り換えの壁」リスクが叫ばれています。
破綻のドミノ倒しはまだまだ続くのではないでしょうか。

 

ちなみに、管理人ペッパーは経済・金融の専門家でもなんでもありません。
信じるか信じないかはあなた次第!
ฅ(=^・^=)

Posted by ペッパー