FRBは年後半に慌てて利下げする(6月米国雇用統計結果詳細)

コラム,雇用統計

3日(木)に6月分の米国雇用統計の発表がありました。
結果は、非農業部門雇用者数が+14.7万人(市場予想+11.1万人)、失業率が4.1%(市場予想4.3%)、平均時給前月比が+0.2%(市場予想+0.3%)、前年同月比が+3.7%(市場予想+3.9%)と、非農業部門雇用者数と失業率が市場予想よりも良く、平均時給が市場予想よりも悪い結果となりました。

それではその雇用統計の中身をもう少し詳しく見ていきたいと思います。

 

労働年齢人口

まずは、15歳以上の「労働年齢人口」です。
6月分のグラフのデータが更新されていませんが、6月は273,585千人(前月:273,385千人)となっており、前月からは+200千人(前月:+188千人)増加しています。

【 米国労働年齢人口の増減数(人)】
【 米国労働年齢人口の増減数(人)】

 

労働力人口

次は、15歳以上のうち就業者と完全失業者を合わせた「労働力人口」です。
6月は170,380千人(前月:170,510千人)と前月から-130千人(前月:-625千人)と減少幅は小さくなったものの2か月続けての減少です。

【 米国労働力人口の増減数(千人)】
【 米国労働力人口の増減数(千人)】

 

労働参加率

3番目は、上記「労働力人口」の割合である「労働参加率」です。
経済指標発表時は小数第一位までしか公表されませんので、小数第二位まで計算して求めてみます。
6月は62.28%(前月:62.37%)と、僅かですがこちらも2か月続けての低下です。

【 米国労働参加率(%)】
【 米国労働参加率(%)】

 

非農業部門雇用者数

4番目は、「非農業部門雇用者数」です。
6月は+147千人(前月:+144千人)と雇用者数の伸びは前月から極僅かですが増加しました。
前月分は速報値から+5千人、前々月分は改定値から+11千人修正されています。

一方で、政府部門を除いた民間雇用者数は+74千人(前月:+137千人)と雇用者数の伸びは前月から大きく鈍化しました。
前月分は速報値から-3千人、前々月分は改定値から-34千人修正されています。

【 米国非農業部門雇用者数と民間雇用者数の増減数(千人)】
【 米国非農業部門雇用者数と民間雇用者数の増減数(千人)】

 

部門別に見てみますと、「医療と社会扶助」が+58.6千人(前月:+80.7千人)と前月からは鈍化しましたが引き続き雇用増に大きく貢献しています。
次いで「レジャーとホスピタリティ」が+20千人(前月:+29千人)、「建設(工事)」が+15千人(前月:+6千人)と大きなプラスになっています。
そして何といっても「政府」が+73千人(前月:+7千人)と大きく伸びています。

一方で、「製造業」が-7千人(前月:-7千人)、「専門・ビジネスサービス」が-7千人(前月:0千人)、「卸売業」が-6.6千人(前月:+3.7千人)などマイナスになっているところもあります。

【米国非農業部門雇用者数詳細】
【米国非農業部門雇用者数詳細】

 

失業率

5番目は「失業率」です。
こちらも経済指標発表時は小数第一位までしか公表されませんので、小数第二位まで計算して求めてみます。
その前に「失業者数」の絶対数を見てみましょう。
6月は7,015千人(前月:7,237千人)と前月から-222千人(前月:+71千人)となり、大きく減少しました。

【 米国失業者数(千人)】
【 米国失業者数(千人)】

 

失業率も6月は4.12%(前月:4.24%)と低下しています。

【 米国失業率(%)】
【 米国失業率(%)】

 

平均時給

最後は「平均時給」です。
6月は前月比が+0.22%(前月:+0.39%)と低下しました。
前年同月比も+3.71%(前月:+3.81%)と低下しました。

【 米国平均時給 [前月比と前年同月比](%)】
 【 米国平均時給 [前月比と前年同月比](%)】

 

あとがき

というわけで、雇用に関連する6つの項目を見てみました。
まずは非農業部門雇用者数ですが、+147千人と市場予想を上振れる結果となりました。
しかしながら中身を見てみますと、その半分は政府部門で、州・地方政府の教育関連で大幅な雇用増となっています。
季節要因という指摘もあり、恐らく一時的なものと思われます。
一方で民間部門では+74千人と市場予想を下振れており、過去2か月分もやはり下方修正されています。
また、大きく雇用増となっているのは従来通り「医療と社会扶助」のセクターで、政府部門と合わせますと、雇用が堅調なのは景気にあまり左右されない部門でほとんどを占めています。

次は失業率ですが、失業者が222千人減少し、失業率も4.12%へと低下しています。
こちらも中身を少し精査してみますと、労働年齢人口が増えているにもかかわらず労働力人口は減っており、労働参加率が減少しています。
仕事がなかなか決まらないためか、やる気を失って就職活動から離脱する人が増加しています。
また、外国生まれの労働力人口も3カ月連続でマイナスとなっており、トランプ政権による不法移民取り締まりの影響の可能性もありそうです。
つまり、失業中の不法移民をどんどん強制送還してしまえば、失業率は改善していくということでもあります。

そして最後は市場予想を下振れた平均時給です。
前月もそうでしたが、時給の高い「情報」が平均時給を押し上げている感じで、全体的には抑制されている感じです。
労働力人口が減っているにもかかわらず、雇用の逼迫は感じられません。
やはり労働力への需要は弱そうですね。

FRBや市場では雇用は堅調という認識でいるようですが、あまのじゃくの筆者としては、かなり弱くなってきているように感じられます。

そして、先ほど日本も含め90日間延期されていた上乗せ関税が発表されました。
当初、小売り大手のウォルマートは輸入元の中国メーカーに関税分を負担させようと試みていましたが、中国政府に呼び出しを食らってこの方針を改め、小売価格へ転嫁する方針に切り替えています。
関税分を小売価格へ転嫁すれば消費者の可処分所得は減り、企業が関税分を負担すればその分企業利益は減ることになります。
そう、関税は増税なのです。

そして、ベッセント財務長官も述べているように米国の金利水準は高いように思います。
本来ならFRBは利下げしてもおかしくない経済状態だと思いますが、今回の雇用統計を受けて7月FOMCでの利下げは遠のいたと見られています。

やはり、関税の影響と高い金利水準によって、今後も米国経済は減速していき、雇用も悪化していくのではないでしょうかね。
FRBは年後半に慌てて利下げするのではないでしょうか。
これをあまのじゃく筆者の今年後半の予想としておきます。(笑)

 

ちなみに、管理人ペッパーは経済・金融の専門家でもなんでもありません。
信じるか信じないかはあなた次第!
ฅ(=^・^=)

Posted by ペッパー