米中貿易戦争は緩和も楽観には程遠い、米国小売売上高も悪化でドル円は大きく下落!来週のFX相場予想(2025年5月12日~)
来週のFXドル円相場予想
予想レンジ:142.0 ー 146.0円
週間では「大きく下落」と予想します。
根拠としては3つ。
1つ目は、米国CPIは市場予想を下振れると予想。(ドル安円高要因
)
13日(火)に4月分の米国CPI(消費者物価指数)が発表されます。
毎月恒例ですが、Inflation Nowcasting を見てみますと、米国CPIの予測値はコアCPIの前年同月比を除いて市場予想を下振れています。
筆者が独自に計算した「前月比に応じた前年同月比の予測値」では、市場予想通り総合CPIとコアCPIの前月比がともに+0.3%となった場合、前年同月比はそれぞれ+2.4%と+2.9%となり、コアCPIが市場予想を上振れます。
筆者の予想としましては、
①4月分のマンハイムの中古車卸売価格は上昇しており、小売ベースでも前月下落していた分その反動もあり中古車価格は上昇していると思われる。
ただ新車などの耐久財への関税分の価格転嫁はまだあまり進んでいないと思われ、むしろ駆け込み需要の反動減で小売価格の上昇は抑制されていると考えられる。
②WTI原油価格は4月2日に1バレル72.2ドルの高値を付けていましたが、追加関税の発表により急落し9日には55.1ドルまで下落。
その後やや反発するも月末の30日には57.9ドルまで下げている。
他方で、全米全グレードの4月の平均ガソリン価格は1ガロン3.299ドル(前月:3.223ドル)とやや上昇している。
③比重の大きい住居費を含めたサービス価格は鈍化してきている。
④4月分のISM製造業・非製造業価格指数は製造業では前月から僅かに上昇、非製造業では大きく上昇していた。
⑤食品価格は関税分の価格転嫁が始まってきている感じで、価格はやや上昇気味と思われる。
などの理由により、トランプ関税の直接・間接的な影響でインフレ率はやや押し上げられている感じがします。
ただ関税に目が奪われがちですが、それ以外のところではインフレ率はデフレ気味に推移しており、企業も関税分の小売価格への転嫁が十分できていないと思われ、市場予想ほどインフレ率は高くないような気がします。
よって、結果は市場予想を下振れ、指標発表時ドル円は下落すると予想します。
また、トランプ関税の影響で結果を予想するのが困難と思われ、市場予想から大きく外れる可能性もあり、値動きには要注意となりそうです。
翌々日には米国PPI(生産者物価指数)の発表もありますので、そちらも要注目となりそうです。
| 総合CPI (%) | コアCPI (%) | |||
|---|---|---|---|---|
| 前月比 | 前年同月比 | 前月比 | 前年同月比 | |
| 市場予想 | 0.3 | 2.4 | 0.3 | 2.8 |
| Inflation Nowcasting | 0.22 |
2.34 |
0.23 |
2.76 |
| 前月比に応じた予測値 | 0.20 | 2.31 | 0.20 | 2.74 |
| 0.30 | 2.41 | 0.30 | 2.85 |
|
2つ目は、米国経済指標は悪化傾向と予想。(ドル安円高要因
)
来週発表予定の米国経済指標は、5月分ではニューヨーク連銀製造業景気指数、フィラデルフィア連銀製造業景気指数、ミシガン大学消費者信頼感指数速報値、NAHB住宅市場指数、4月分では小売売上高、財政収支、鉱工業生産、住宅着工件数、輸出入物価指数、週次の新規失業保険申請件数などがあります。
その他、パウエルFRB議長をはじめFOMCメンバーによる講演など発言機会が多くあります。
まず小売売上高ですが、市場予想は総合の前月比が±0.0%(前月:+1.4%)、コアの前月比は+0.3%(前月:+0.5%)と前月から鈍化する見通しとなっています。
前回は自動車などを含む総合で大きく上昇しましたが、今回は駆け込み需要の剥落で逆にマイナスになるのではという気がします。
コアも+0.3%ならばインフレ率も同程度なので実質ではほぼ変わらずという予想ですが、やはり実質ではマイナスに陥るのではという気がします。
次はミシガン大学消費者信頼感指数ですが、市場予想は53.1(前月:52.2)と前月から改善の見通しとなっています。
市場では幾分楽観ムードとなっていますが、実体経済ではこれから関税が転嫁されて物価が上昇していきますので、あまり改善は見込めないような気がします。
ただ逆相関的に期待インフレ率は上昇するでしょうから、値動きは少し複雑な動きになるかもしれません。
製造業や住宅関連の指標も引き続き関税や金利の高止まりを受けて軟調だと思われます。
失業保険も緩やかながら増加している感じですが、いつ急増してもおかしくないといった感じではないでしょうかね。
来週はCPIと小売売上高に注目が集まりますが、筆者的には財政収支にも注視しています。
財政収支は概ね毎月赤字ですが、4月分は納税の期限ということもありほぼ毎年黒字となります。
ここでどれだけ貯金ができるのか注目しています。
よって、全体的に経済指標は悪化傾向と思われ、指標発表時ドル円は下落すると予想します。
来週は15日(木)の21:30に指標の発表が集中しますので、結果が上振れもしくは下振れに偏りますと大きく動意付く可能性もありますので要注意となりそうです。
また、その10分後にはパウエル議長の講演も予定されています。
講演の内容は恐らくCPIの結果を受けて原稿が作られていると思いますので、CPIの結果によっては直近の5月FOMC(米連邦公開市場委員会)での見解に変化が生じる可能性がありますので注目となりそうです。
3つ目は、テクニカル分析では下落と予想。(ドル安円高要因
)
ドル円日足チャートを見ますと、ボリンジャーバンドのミッドバンドの攻防から上抜ける形となり、145.5円付近にあった+2σをやや超える水準146.17円まで上昇しました。
ただ、この+2σや146.0円のキリ番がレジスタンス(上値抵抗線)となって反落し、今度は145.0円のキリ番がサポートとなって、週末は陰線ながらも145.36円までやや反発してクローズしました。
来週以降は上値では145.8円付近にあるボリンジャーバンドの+2σや147円台後半から垂れ下がってくる一目均衡表の雲下限がレジスタンスとなって売り圧力は強まり、ミッドバンドの攻防戦になると予想します。
他方、週足では底値からの反発局面となっており、ボリンジャーバンドのミッドバンドを目指す流れになりそうですが、やはりこれを上抜けできずに反落していくと予想します。
ただ、チャートを見る限り3~4週間は底堅いかもしれません。
したがって、総合的に判断すると来週のFXドル円相場予想は、チャート上のオレンジの矢印のような感じで推移すると予想します。
あとがき
今週末、スイスのジュネーブで米中の関税交渉が行われましたが、ベッセント財務長官は「大きな進展があった」と述べ、詳細については12日に説明するとのことです。
米英では既に合意されており、市場では楽観論がやや広がっている感じです。
ただ、米英では英国側が貿易赤字国であり相互関税の観点から言えば英国側がむしろ関税を引き上げるべきところですが逆に関税を引き下げ、米国側は10%のベース関税を維持しつつ、肝心かなめの英国産自動車には昨年並みの10万台を超える分には+25%上乗せとなり、それ以上は許さんぞという内容で、かなり英国は譲歩したなという感じがします。
強国相手に単独で突入すれば撃沈されるという悪いお手本のようで、米国は各個撃破すれば良いだけですから楽でしょうね。
品目別の追加関税は国内産業の保護を目的としていますが、10%のベース関税は恐らく安定財源を目的とした絶対条件なんでしょう。
たぶん日本も同じような内容で合意してしまうんでしょうね。
さて、問題は米中の関税交渉です。
ベッセント財務長官は「大きな進展があった」と述べていますが、恐らく市場が楽観するほどの具体的な進展はなかったのではという気がします。
中国としては米英のような合意内容ではきっと合意しないと思います。
恐らく100%を超えるような高関税はお互いにいったん引き下げるでしょうが、結局ある程度は高率の関税が残るのではないでしょうかね。
というわけで、月曜から少し楽観姿勢が反転するような気がします。
ちなみに、管理人ペッパーは経済・金融の専門家でもなんでもありません。
信じるか信じないかはあなた次第!
ฅ(=^・^=)
【ドル円日足チャート未来予想図】