FRBがインフレ目標でターゲットとするコアPCEは、なぜコアCPIよりも圧倒的に高い?

コラム,CPI・PPI・PCE

米国の利下げや利上げの行方を占う上で、FRB(米連邦準備制度理事会)が最も重視している物価指標が「コアPCE(個人消費支出価格指数)」です。
歴史的には、もう一つの主要な物価指標である「コアCPI(消費者物価指数)」の方が高くなるのが一般的でした。
しかし特定の局面において、コアPCEがコアCPIを圧倒的に上回る逆転現象が発生し、市場や専門家の間で大きな議論を呼んでいます。
なぜ、FRBがターゲットとするコアPCEがこれほど高くなっているのでしょうか。
その裏にある3つの歪みを分かりやすく解説します。

 

 

 

企業のAI投資ブームがPCEを直撃している

最も大きな理由の一つが、コンピューターソフトウェアや周辺機器の価格高騰です。

コアCPIのウエイト:約0.03〜0.3%程度(ほぼ影響なし)
コアPCEのウエイト:約1.2%(CPIの4~40倍)

コアCPIは「個人のポケットから直接支払った金額」だけを計算します。
一方でコアPCEは、企業側の販売データを基にするため、「勤務先が全額負担して従業員に支給しているサブスクリプション(Microsoft 365など)やPC周辺機器」も実質的な消費として重くカウントされます。
近年の爆発的なAIブームにより、IT企業はAI機能を搭載したソフトの料金を大幅に値上げしました。
この影響が、ウエイトの圧倒的に重いコアPCEだけを強烈に押し上げています。

 

 

株高による手数料の急騰が反映されている

コアPCEには、コアCPIには一切含まれない「投資ポートフォリオ管理手数料(資産管理・投資助言サービス)」という項目が含まれています。
この手数料は株価や市場の活況度合いに連動して変動します。
近年の米国株の大幅な上昇に伴って、この手数料が急騰したため、消費者が直接支払う物価とは関係のないところで、コアPCEの数値だけが組織的に大きく底上げされる結果となりました。

 

 

家賃(住居費)の下落が響きにくい構造

これまで米国のインフレを牽引してきた「住居費(家賃や帰属家賃)」の動向も、両者の差を広げています。

コアCPI:住居費が全体の約4割を占める
コアPCE:住居費の割合は2割弱にとどまる

現在、米国の住宅市場や家賃インフレはピークを過ぎて減速傾向にあります。
住居費の比重が非常に重いコアCPIは、家賃の減速によって数値が強く押し下げられます。
しかし、住居費の比重が軽いコアPCEはその恩恵をあまり受けず、高止まりしたままになっています。

 

 

あとがき

このように現在のコアPCEの高さは、「IT・AI投資の過熱」や「株高」といったノイズが大きく影響したものです。
こうした歪みを解消するため、米商務省経済分析局(BEA)は9月30日の年次改定において、ソフトウェアやポートフォリオ手数料などの計算方法を大規模に刷新することを決定しています。
この改定によって、コアPCEは過去に遡って約0.2%ポイント押し下げられると試算されており、今後はコアCPIとの不自然な乖離も徐々に縮小していく見通しです。

 

ちなみに、管理人ペッパーは経済金融の専門家でもなんでもありません。
信じるか信じないかはあなた次第!
ฅ(=^・^=)

Posted by ペッパー