ドル円暴落を招いたベトナム戦争、イラン戦争との共通点は?
今日は米国が絡んだ過去の戦争に目を向けてみることにし、変動相場制に移行してからは、ベトナム戦争、湾岸戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争と4つあったわけですが、基本的にドル円相場は戦争の有無にかかわらず、ITバブル崩壊後のゼロ金利政策が実施されるまでの米国金利に連動した長期ドル安トレンドとなっていました。
今回はそのドル安トレンドの起点となり、ニクソンショックや変動相場制につながったベトナム戦争に焦点をあてて、財政面を中心に現在のイラン戦争との比較をしてみることにします。
【 ドル円(月足)】

ベトナム戦争(1955-1975年)
米国史上「初めて負けた戦争」とされることが多く、1973年に撤退した後、南ベトナムが崩壊しました。
開戦時は1ドル360円の固定相場制でしたが、戦争による膨大な軍事支出がアメリカの財政を悪化させたことによってドルの信認が低下、インフレ高進によるドルの購買力の低下によってドルの先安観が強まったことで、戦争後ドルは大きく売られることとなりました。
ニクソン・ショック(1971年)
ドルの価値に対する不信感から、各国の中央銀行が手持ちのドルをゴールドに交換しようと殺到しました。
これに対抗するため、1971年にニクソン大統領がゴールドとドルの交換停止を電撃発表しました。
これによりドルの価値を支えていた裏付けが失われ、ドルの売り圧力に拍車がかかりました。
変動相場制への移行(1973年)
1971年のスミソニアン協定で1ドル308円への切り下げが行われましたが、ドルの売り浴びせは止まりませんでした。
結局、1973年には固定相場制が維持できなくなり、主要国は変動相場制へ移行しました。
その結果、市場原理によってドルはさらに売られ、円などの他国通貨に対して大きく値を下げました。
現在のイラン戦争との共通点
2026年4月現在、進行中のイラン戦争とベトナム戦争の共通点は、主に「膨大な戦費による財政圧迫」と「地政学的リスクによるインフレ圧力」に集約されます。
ベトナム戦争が「ドルの信認低下」を招いた歴史的経緯を踏まえ、現在の状況との類似点を整理します。
1. 膨大な軍事支出と財政赤字の拡大
ベトナム戦争
泥沼化した戦争によりアメリカの財政赤字が急増し、ドルの価値を支えていたゴールドが流出しました。
これがニクソン・ショックの引き金となりました。
イラン戦争
開戦から2ヶ月目に入り、トランプ政権はすでに1兆5000億ドル規模の防衛費を要求するなど、軍事支出が再び米財政を強く圧迫し始めています。
これが長期的なドル安の懸念材料となっています。
2. 原油価格の高騰と高インフレ
ベトナム戦争
戦費調達に伴う通貨供給量の増大によりインフレが加速しました。
間接的に第1次オイルショックを引き起こし、原油価格は3ドルから12ドルへと約4倍に急騰しました。
イラン戦争
ホルムズ海峡の事実上の閉鎖により、原油価格が約2倍に高騰しています。
関税による物価高に加え、エネルギーコストの上昇が物価をさらに押し上げています。
【戦費と対GDP比の比較】
| ベトナム戦争 | イラン戦争 | |
|---|---|---|
| 想定戦費(補正予算等) | 1,680億ドル | 2,100億ドル〜(要求中) |
| 1日あたりの戦費 (ピーク時) | 1.7億ドル | 9〜10億ドル |
| 対GDP比 (ピーク時) | 9.5% | 0.3 〜 0.4% |
| 開始時の債務対GDP比 | 45% | 120%超 |
| 主なコスト要因 | 膨大な人員と消耗戦 | 高額な精密ミサイル・迎撃弾 |
*退役軍人の年金、遺族補償、借入金の利払い、その後のインフレ影響などを含めると、最終的な米国の負担額は数倍に膨れ上がります。
あとがき
ベトナム戦争時の債務対GDP比は45%と、現在の基準でいうと「非常に健全な状態」でしたが、ドルの暴落を招いてしまいました。
現在は当時よりも3倍近く悪化した120%超となっており、ベトナム戦争時に「ゴールドとドルの交換」が停止したように、現在の巨額債務も「インフレで借金を帳消し」にするのではないかという不信感を招いています。
戦時中は「有事のドル買い」ということでドルが買われていますが、イラン戦争の終結が視野に入ってきた時には、膨大な戦費と債務がフォーカスされ、再び戦前のディベースメント(ドルの価値下落)取引に戻るのではないでしょうか。
ちなみに、管理人ペッパーは経済・金融の専門家でもなんでもありません。
信じるか信じないかはあなた次第!
ฅ(=^・^=)