隠れ債務が米国経済を縮小させ、ドル安を加速させる!
13日(火)に12月分の米国財政収支が発表され、2025年の米連邦政府債務残高は前年の36.2兆ドルから38.4兆ドルへと大きく膨らみ、対GDP比でも120%を超える悪化見通しとなったことがわかりました。(下のグラフでは2025年第2四半期までしか更新されていません)
但し、2026年1月分の給付金約320億ドルが12月に前倒しされて支払われており、その分を割り引いてみる必要はありますが、年間の財政赤字額からすれば極僅かな額と言えそうです。
【 米連邦債務残高(百万ドル)】

【 米連邦債務残高対GDP比(%)】

大幅な関税収入増もありましたが、やはり関税だけでこの莫大な財政赤字を埋めるには少し厳しかったようですね。
しかしながらインフレ下の対応としましては、政府支出を増やすとインフレが加速してしまいますので、できるだけ無駄を省いて支出を減らし、景気が悪化したら利下げで対処するというのがベターでしょうから、方向性は間違っていないと思います。
ただ、もう少し支出を抑えていれば政策金利をもっと引き下げることができたかなと、この僅かな差が大きな違いを生んでいたでしょうね。
一方で、どこかの国はインフレ下で財政支出を増やし、中央銀行の利上げを促してしまうという愚策をしていますので、お金が幾らあっても足りなくなるわけですね。
州・地方政府債務
普通は政府債務といえば国と地方政府の債務合計を指しますが、何を隠そうこの連邦政府債務には州と地方政府の債務が含まれていません。
米国は連邦制国家で州や地方政府は独立した財政権限を持っているためということなんですね。
しかし州や地方政府の債務残高対GDP比は連邦政府と違って健全で、2024年時点での全米平均は11%ほどとなっています。
それでは州と地方政府の債務は一体どれくらいあるのかといいますと、2023年末で6.1兆ドルと見積もられており、2025年末ですと恐らく7兆ドル前後へと膨張しているのではと推測できます。
しかしながら下のグラフを見てみますと、2023年の債務残高は3.4兆ドルほどとなっており、見積額の半分強となっています。
【 州・地方政府債務残高(十億ドル)】

実はここにも隠れ債務が潜んでいまして、公的年金債務や退職者医療債務など社会保障の未積立債務が含まれていません。
つまり、将来支払うべき給付金の積立金が大きく不足しているのです。
なので現状は健全そうに見えていても、この問題を放置していますと、ひとたび金利上昇が起きれば、連邦政府のようにあっという間に債務残高は増えますので要注意となります。
連邦政府の未積立債務
更には、連邦政府債務残高38.4兆ドルに対しても同様に社会保障の未積立債務は含まれていません。
75年間で公的年金給付(25.4兆ドル)、医療保険給付(52.8兆ドル)、連邦職員・退役軍人給付(15兆ドル)で合計93.2兆ドル不足するとの試算もあり、基金が枯渇する前の2032~2033年頃までには対処する必要がありそうです。
現トランプ政権の次の政権がその役割を担うことになりそうですが、選挙の勝敗を左右するだけにここまで早期治療できず、最終的には末期大手術となりそうですけれども、さてどう決着をつけるのでしょうかね?
さすがにもう借金をして穴埋めするわけにはいかないと思いますので、やはり社会保障税12.4%(労使折半)を増税して給付も減額、支給開始年齢も先伸ばしにするんでしょうかね!?
何れにしても国民にしてみれば負担が増すことになりますので個人消費は落ち込んで景気は悪化し、景気対策として財政出動もロクにできないでしょうから経済も縮小する可能性がありそうです。
また、この社会保障税は給与から天引きされるわけですが、現状雇用者数もほとんど伸びておらず、税だけ払ってほぼ恩恵を享受できない移民の数も減少もしくは伸びが鈍化しているようですから、ますます基金の枯渇時期を早めるでしょう。
あとがき
こういった時限爆弾を抱え込んでいる状態ですから、10年や30年といった長期・超長期ゾーンの米国債をとてもじゃないが満期まで保有し続けられないということで買われにくくなっており、ドルから金・銀などの安全資産へ逃避する動きが強まってるわけですね。
コトの重大さから判決を下せない状況となっているのか、トランプ関税の最高裁判決も先送りされており、政府機関の閉鎖を引き起こしたオバマケアへの補助金の問題やトランプ減税も控えていることから、今後も米国財政問題や米国債市場、ひいてはドル円相場には要警戒となりそうです。
ちなみに、管理人ペッパーは経済金融の専門家でもなんでもありません。
信じるか信じないかはあなた次第!
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